2005年02月12日

三島由紀夫の伝記映画

三島由紀夫の伝記映画「MISIMA A Life in Four Chapters」(1985)について。フランシス・コッポラとジョージ・ルーカスがプロデュース、『太陽を盗んだ男』『蜘蛛女のキス』の脚本家レナード・シュレーダーが脚本、その弟で『タクシー・ドライバー』の脚本家ポール・シュレイダーが監督。出演は緒形拳、板東八十助、沢田研二、萬田久子、永島敏行と豪華キャストで、実際に三島と交友のあった横尾忠則も顔を出している。カンヌ映画祭において最優秀芸術貢献賞受賞。しかしながら諸般の事情により日本では未公開でヴィデオソフトも販売されていない、ある意味で幻の映画である。
決起事件の朝の目覚めから始まり、三島自身の回想として全体が構成されていて、三島の人生を四つの時期に分け、それぞれの時期の作家自身の心情をうかがわせるとおぼしき三作品『金閣寺』・『鏡子の部屋』・『奔馬』(『豊穣の海』第二部)の劇中劇が織り込んである。地のセリフは日本語であるが、回想のナレーションは英語だ。決起の日のシーンはカラー、回想シーンはモノクロ、劇中劇はカラー。劇中劇はキッチュな味わいがあってなかなか良いし、全体的によく練った構成で、映画としては悪くない。
ただ三島役が緒方拳というのはどうだろう。役者としての力量はともかく、顔があまり似てないのだ。幼少時のエピソードを演じる子役の利重剛(後に映画監督)は、写真で見る三島の子供時代にそっくりなのだが。緒方の鍛えられた身体がキャスティングに買われたのは確かであろう。写真家細江英光が三島を被写体とした伝説的な写真集『薔薇刑』(集英社刊・新版が入手可)の撮影風景の再現シーンなどもあるから、肉体美は重要なのである。しかしその点を加味しても、劇中劇『奔馬』で割腹する永島敏行ではいけなかったのだろうかとも思う。
映画のラストシーンは市谷駐屯地の総監室のシーンだ。三島の割腹とともに画面がブラックアウトする。三島は、まず226事件を描いた短編小説「憂国」で、次ぎに自ら監督・主演した幻の映画版『憂国』で、さらにまた小説『奔馬』において、幾度もリハーサルを重ね、そして最期に実際に割腹したと言われる。この映画ではそのリハーサルから実行にいたるまでのプロセスが劇化されたわけだ。

mishima08s.jpg


posted by rawramp at 02:36 | Comment(1) | TrackBack(4) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この項増補しました。
Posted by rawramp at 2005年11月18日 00:21
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