2006年11月10日

★『みづゑ』澁澤龍彦特集

先ほど『書物の宇宙誌―澁澤龍彦蔵書目録』が出版され話題を呼んでいるが、澁澤の蔵書がいかなるものであるか、一般の愛読者がはじめてかいまみることがきたのは、美術誌『みづゑ』の大々的な特集号の巻頭を飾った篠山紀信撮影による見開きの4ページの書斎写真ではなかったかと思われる。書棚の一冊一冊を視認することができて、あえていうなら故人の"正統"な教養人だったことがよくよくうかがえるのであった。この特集号は80年代半ばの第三次のブームを受けて企画されたが、結果的には87年末に「追悼特集号」として刊行されることになってしまったのだった。
書斎写真は澁澤邸の外観から内部の様子を写しだしたグラフ特集の一部で、そこでは遺作となった『高岡親王航海記』の製作ノートの幾ページもみる事ができる。特集記事は晩年の「滞欧日記」の抜粋、種村季弘から荒俣宏にいたるまでゆかりのあった文筆家の追悼文、そして四谷シモンや金子國義、野中ユリらの、故人に捧げる作品などから構成され、さらに73年の『別冊新評 澁澤龍彦の世界』の澁澤による自作年譜(54年で突如途切れる)を再録され、著書目録抄が付されている。
この『みづゑ』の特集号は書店にならぶやまたたく間に売り切れ、美術出版社には問い合わせが殺到した。そこで異例の措置としてこの号は増刷され、第二刷が出回ったのであった。さらに翌88年には同誌に連載された美術批評「イマジナリア」のうち10編(ベルナール・フォーコンも鈴木其一もとりあげられている!)と、国書刊行会刊『フランス世紀末文学叢書』巻頭口絵の解説として月報に執筆された批評、そして龍子未亡人による年譜を加え、『澁澤龍彦・夢の博物館』として単行本化されたのであった。
この特集記事は同時期に刊行された別冊幻想文学の『澁澤龍彦スペシャル』と並び愛読者必携の資料と言えるであろう。特集号は某古書店では1万円の値がついていた。書誌的な事にふれておくと、特集号の最初に出たものと増刷分には、版は同じながらも明確な違いがある。増刷分にはとじこみの読者アンケート葉書が入っていないのだ。注意されたし。


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posted by rawramp at 00:54 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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