2005年10月08日

★丸善京都店閉店

1872年京都に出店した丸善書店。もとは麩屋町三条西入ルにあり、その後1940年から現在の河原町に移転した。京都一の洋書売り場のほか、文具売り場、バーバリーなどと共にオリジナル商品を扱う洋品コーナーも特色をなしていた。その丸善京都店がいよいよ10月10日、自社ビル売却によって閉店する。
梶井基次郎の『檸檬』で「生活がまだ蝕まれていなかった以前私の好きであった所」。「えたいの知れない不吉な塊」に心を圧迫された「私」は、美術書をかさねてた上に一個の檸檬を置き去り、それを爆弾だと想像する。これを偲んで店にはおりおり檸檬が置き去られていたが、閉店が公示されていこうはそれまでにもまして置き去られている模様である。「私」が檸檬を買った八百卯は寺町通二条角に今も店を構えているから、ここで買っていくのが正統であろう。しかし残念ながら7階の美術書売り場はすでに撤去されていて、8階とともに美術品の閉店セールの会場にあてられている。
ところでその美術品セールにはピカソやロートレックから、ジャン・コクトーに藤田嗣治、加山又造、そしてレオノール・フィニ、金子国義まで、リトグラフや銅版画が、平常の60%くらいの値段で出されている。コレクターさんは注目です。明後日までです。
ちなみにワタシの好きな梶井作品は「愛撫」。

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檸檬をあしらった記念スタンプ


posted by rawramp at 05:38 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月03日

★喫茶ソワレ

京都のおすすめ喫茶店の紹介です。"カフェ"とは言いません。
喫茶ソワレは、森鴎外の「高瀬舟」で有名な高瀬川のほとりに、昭和二三年開業当時の外観とインテリアを保っている。
入り口横には「珈琲の香にむせひたるゆうへよりゆめみるひととなりにけらしな」の歌碑の石板が。昼も暗い店内は蒼色のライトのほのかな光に照らされ、音楽はかかっておらず、街の喧騒とは別世界なのである。壁には店主のなじみだった東郷青児画伯の絵が何枚も並ぶ。二階へあがると、天井のない屋根の回廊に彫像が乗っていて、窓にせまる桜並木は秋冬の眺めも素晴らしい。
静かな店内では話し声もおのづと小さくなる、いやむしろ一人で行くべき店かも知れない。本を読むのには少し暗いが、「ゆめみるひと」になるにはちょうどよいのだ、東郷画伯の訳業も素晴らしいコクトーの『恐るべき子供たち』みたいに。(蛇足ながら”soiree"の店名は「夜会」よりは「夜の時間」と解するべきだと思う) 
観光客の多い日曜日は避けるが賢明であろう。
客に”マロンアイス”とはどんなメニューかとたずねられ、いつも眠そうなウエイトレスが「栗っ、アイス、栗っ、アイス、というかんじです」と説明した、と言う話には笑った。

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※東京中野の喫茶クラシックがお好きだった人は気にいるにちがいない。
posted by rawramp at 00:16 | Comment(2) | TrackBack(0) | 京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする